最近気になっているお仕事がありまして、グラフィックファシリテーターなんて呼ばれる職業なんですけど、
会議やワークショップなどで話される内容を、グラフィックを使いながらリアルタイムに見える化していくことで、場を活性化させ、議論を深め、共感や相互理解をうながすことができます。
グラフィックレコーダー(レコーディング)も似たようなものです。
これが自分のやりたいこと、特性にぴったりマッチしてるなあと思うわけですよ。
こういうことを描いたつもり……笑
- 絵を描くのが好き
- ビジネスモデルとか研究するの好き(株のおかげ)
- アイデア発掘よくやる(小説書いたりとか、仕事でも)
- 聞いてまとめる、思考の整理は得意なほう(仕事柄?)
- ロジカル・シンキングはたぶん出来る
- 言語化してアウトプットするのは慣れてる(ブログのおかげ)
せっかく面白いことを知ったので、ここ最近は仕事の場でも意識してイラストを描くようにしています。私は営業職なので、新規提案のとか社内会議とか、とにかく色々なところで。
そうしてみて分かったんですが……
イラスト×ビジネスってめっちゃ相性いいんですね!
これは是非とも広めて行きたいと思って、ブログの1テーマに拡張してしまいました。
目次
絵にするだけで、ひと目で伝わる
「デジタル」を使った「新規ビジネス」をどうPRするか
私の本業はデジタルビジネスの新規商談発掘をメイン活動としている営業職です。
AIだったりIoTだったりの新規技術を活かしてビジネスを作ろうというわけですが、常々以下のような課題にぶち当たります。
- ITは(モノじゃないので)目に見えない:イメージしにくいし、よく分からない!(分からないと投資してくれない)
- みんなの頭の中はバラバラ:みんな好きにイメージを浮かべてる(で、ケンカする)
- 気づいたら技術の話ばっかり
- ありきたりなアイデア
実はこれら全部、絵にしてあげるとわりかし解決します。というのが私なりのグラフィックファシリテーションのやり方です。
イメージを共有する
空中戦をしない
お互いの思い込みで話し出すと、すぐ空中戦になります。メモレベルでも全然構わないので、落ち着いて紙に書き出してみましょう。
分かる、分からないも共有
大人になると分からないことを分からないって言えないのですが、絵を指さして「ここなんだっけ?」って言うのは簡単です。
ホワイトボードを見る=一緒に問題を解決する!
普通の会議は机を向かい合わせにして喧々諤々と議論をします。が、この身体の向きは対立の構えです。
みんな「誰が言ったのか」を気にするようになり、否定されると「自分が責められた」と感じるようになります。
一方でホワイトボードを使うと、こんな感じでみんなの身体がホワイトボードに向かって同じになります。
ホワイトボードに描いてある問題を一緒に解決しよう、という姿勢になります。面白いものですね~。
会議に出なくてもついていける
イラストには一覧性があるため、ぱっと見てだいたい把握できるようになっています。
文書ベースの議事録なんて誰も読む気がしませんが、イラストがあると目に楽しいので、会議に参加出来なかった人も読んでくれやすいです。
そうすると脱落することなく、また途中からでも話し合いに加わってもらうことが出来ますね。
アイデアが出てくる
ターゲットは誰?
さて、外国人観光客って具体的に誰のことなんでしょう。ターゲットを決めてみたいですね。
こんなふうにしました。絵にするとなんとなくイメージしやすくなります。名前とか趣味とか性癖とか、ディティールをつけていくと発想が膨らみやすいです。
「外国人観光客」のほうが広い括りですが、「20代イギリス人ではじめて日本に来たマイクさん」へのサービスを考えたほうが、アイデアが出やすくなります。
ついでに言うなら、ディティールはより変人(特殊なユーザー)に寄せたほうが面白いアイデアが出てきます。
今回は20代男性でしたが、例えば90代の女性が一人で日本に来たとしたらどうでしょう。違う視点が浮かんできませんか。
- どうして高齢ではるばる日本までやって来たのか?
- お年寄りはスマホ持ってないのでは?(道が調べられない?)
- 90代の観光客が気になりそうなスポットはどこなんだろう?……etc
どういうサービスにしたらいい?
次に、サービスの中身を作っていくために、彼が困っていることを考えてみます。
20代のイギリス人が日本に来ると聞いて、なんとなーくオタクにしてみました。
これはポツポツと想像ベースでアイデアが出て、それを絵にしてみた感じです。ただ、その場を見てみたりヒアリングしたほうがより鋭い切り口が得られるのでおすすめです。
出来たら次にありたい姿を考えてみましょう。マイクさんはどういう状態になったら日本旅行を楽しめたと言えるでしょうか。
カタチがなくても絵には出来る
困りごととありたい姿を結ぶものがサービス像です。
ITそのものが見えなくても、そのサービスを使ったユーザーのビフォーアフターは描けるということが分かると思います。
ビフォーからアフターに飛躍させるためにどうしたらいいか、という視点で考えてみるとアイデアが出やすくなります。
ちなみに、困りごととありたい姿を結ぶ過程を4コマ漫画にすることで、サービスの利用シーンが頭に描きやすくなります。
これがそのままユーザーストーリーになっているということですね。
ついでに目を引くプレゼン資料も完成
アイデアをまとめて提案に持っていくのに、わざわざ一から資料を起こす必要はありません。描いた絵をちぎって説明しやすく整理して、貼っ付けるだけでOKです。
そのほうが独特な提案書になるんで、みんな興味持ってくれるんですよね。先ほどのをまとめると……ほら、いい感じになりました!
最初に説明するのは担当レベルの1~3名なので、資料の体裁は気にしなくていいでしょう。
それよりも早くユーザー側に見てもらって、改善点をもらったり全然ヒットしてないってダメ出しされたほうが先に進みます。
イラストは最も簡単なモックアップ(試作品)です。
なぜ絵を描くのか
さて、絵を描く目的を忘れてはいけません。あくまでも「外国人観光客向けに新しいサービスを発掘する」ことが主題ですよね。
新規ビジネスの発掘に必要なことは、この4つだと思っています。
- 必ずやり通す強い意志(全員本気)
- ユーザーがいる(どんなユーザーをターゲットにする?)
- ユーザーの困りごとを解決する、利益がある(何がどうなると嬉しいんだろう?)
- 頑張ればなんとかなりそう感(技術とか人的リソースとか競合比較とか採算性=ビジネスモデルとか)
根性論と言われるかもしれませんが、結局本気になってやり抜くつもりがないとビジネスなんて立ち上がらないんだなって最近分かりました。
まあそれは本人の問題なので置いとくとして、②と③はよく言う”デザイン思考”ってやつです。
既に見てきた通り、ここを深掘りすることに視覚的な効果が有効だと感じています。
課題があって、需要が生まれて、企業が動く
ビジネスというのは技術ありきで動くものではありません。
社会(企業)が何かしらの問題を抱えていて、それを解決出来るのがたまたまその新規技術だった、という順番です。
技術者は技術から、営業は売り物から、広報は差別化ポイントから説明しようと考えますが、重要なのは「ユーザの課題を解決してくれるのかどうか」ということだけです。
エクストリームユーザーから着想を得よう
アイデア発掘の場面で、エクストリームユーザー(極端な人)をあえてイメージすることは大変重要です。
エクストリームユーザーこそお絵描きの出番で、普段見落としていた人物像が浮かび上がってくること間違いなしです。
- スマホ持たないで旅行に来た:逆にこのサービスを使いそうにない人
- 日本語ペラペラ:何に困るんだろうか
- 100人の団体旅行:マナーもしっかり守ってもらおう
みたいな感じでしょうか。
絵はどこまでもツールですので、描くことが目的化しないようにしたいです。
「今日はこういうテーマでこういうことを決める」という指針を最初に描き出しておくとGoodですね!
こちらの本が大変参考になり、おすすめです。
ではでは~。